1型糖尿病の特徴|病態と分類
糖尿病と糖代謝異常は、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、その他の機序・疾患(肝疾患や内分泌疾患、感染症、薬剤などによる糖尿病の発症)によるものがあり、1人の患者さんが複数をあわせもつこともあります。
なかでも1型糖尿病は、インスリンを作る膵臓の細胞が壊れてしまう病気で、インスリンの絶対的な欠乏状態を招きます。
1型糖尿病の病態
1型糖尿病とは、血糖を下げる働きのホルモンであるインスリンを作っている膵臓の細胞が壊されてしまい、インスリン分泌が高度に障害されて発症する糖尿病のことを指します。通常はインスリンの絶対的な欠乏状態になります。
1型糖尿病の分類
1型糖尿病は、急性発症1型糖尿病、緩徐進行1型糖尿病、劇症1型糖尿病の3つに分類されます。
- 急性発症1型糖尿病
- 急性発症1型糖尿病は、遺伝的な背景にウイルス感染、食物因子などの環境因子が加わり発症するといわれています。大半は自己免疫性と考えられており、自己抗体の検出により診断します。
- 緩徐進行1型糖尿病
- 緩徐進行1型糖尿病は、インスリン分泌能を認めるが数年かけて徐々に分泌能が低下してインスリン依存状態となります。原則としてGAD抗体が証明され主にインスリンで治療します。
- ※インスリン依存状態…注射でインスリンを補充しないと、血糖コントロールができなくなった状態。
※GAD抗体…抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)抗体。自己免疫が起きている証拠のひとつである自己抗体の血液検査。GAD抗体は1型糖尿病の診断に有用な検査の1つで、2型糖尿病との鑑別に役立つ検査。
- 劇症1型糖尿病
- 劇症1型糖尿病は、自己抗体などによる自己免疫機序の証明ができないまま急激にインスリン依存状態に陥るタイプの1型糖尿病です。病気の原因は、いまだ明らかでなく特発性に分類されていますが、遺伝的背景にウイルス感染やそれに伴う免疫反応の関与が考えられています。
1型糖尿病の発症時期
1型糖尿病の特徴はやせ型で若年発症が多く、生命の維持にインスリン注射が不可欠となることが多いです。好発年齢は8~12歳で思春期にピークがあり、食事療法やインスリン治療が生涯にわたり必要となるため、インスリンの種類や量を適宜調整していくことが重要です。