健康診断の検査値「AST、ALT、γ-GPT」とは|岡山市山下クリニック
岡山県岡山市北区の山下クリニックです。
当院では、定期健康診断や雇入時の健康診断など各種健康診断を行っています。
この記事では、健康診断の検査値である「AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GPT」について特集します。
肝機能の検査値
肝機能の検査値には、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、総ビリルビン、ALP、LDHなど様々なものがあります。その中でも、特に代表的な検査値はAST(GOT)、ALT(GPT)、そしてγ-GTPです。これらの検査値は、健康診断においても、肝機能を評価する主要な指標として用いられます。
AST(GOT)とALT(GPT)は肝細胞で、γ-GTPは胆管細胞で生成される酵素です。肝細胞や胆管細胞が破壊されると、これらの酵素が血液中に放出されます。そのため、これらの酵素の血中濃度を測定することにより、肝機能の状態を把握することができます。
AST(GOT)
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)は、GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)とも呼ばれます。
AST(GOT)は、主に肝細胞に存在しますが、腎臓や心筋などの細胞内にも含まれる酵素です。この酵素は、タンパク質を分解してアミノ酸を生成し、体の代謝を円滑に進めるために重要な役割を担っています。
肝細胞をはじめとする細胞に何らかの障害が生じると、AST(GOT)は血液中に放出され、血中の濃度が上昇します。AST(GOT)の検査値が高い場合は、急性・慢性肝炎や脂肪肝などが疑われます。
AST(GOT)基準値
30U/l以下
ALT(GPT)
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は、GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)とも呼ばれます。
主に肝細胞に存在する酵素で、AST(GOT)と同様にタンパク質を分解してアミノ酸を生成し、体の代謝を円滑に進めるための重要な役割を担っています。
肝細胞や胆汁の通り道である胆道に障害が起こると、血中の濃度が上昇します。AST(GOT)同様に検査値が高い場合は、急性・慢性肝炎や脂肪肝などが疑われます。
ALT(GPT)基準値
30U/l以下
γ-GTP
γ-GTP(ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ)は、腎臓、膵臓、肝臓に豊富に存在し、脾臓や小腸にも見られる酵素です。γ-GTPは、AST(GOT)やALT(GPT)と同様に、アミノ酸の生成に欠かせない酵素であり、胆汁の分泌に関与し、肝臓の解毒作用にも重要な役割を果たしています。
特に、過度の飲酒によってγ-GTPの血中濃度が上昇することがあります。また、胆石などによる胆道の閉塞が発生すると、胆汁の流れが妨げられ、結果として血中にγ-GTPが放出され、濃度が上昇します。
γ-GTPの検査値が高い場合、アルコール性肝障害、胆道炎、胆管結石などの胆道系の疾患が疑われます。
※γ-GTPはアルコールに対して敏感に反応するため、肝細胞等に障害がなくても、過度の飲酒により数値が一時的に上昇することがあります。
γ-GTP基準値
50U/l以下
まとめ
この記事では、健康診断の検査値である「AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GPT」について特集しました。
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPは、肝機能を評価する主要な指標です。健康診断などで検査値が基準値を上回る場合は、肝臓疾患や胆道系の疾患が疑われます。
そのため検査値が高い場合は、医療機関を受診して適切な診察・診断を受けることをおすすめします。